玉手箱開くと…浦島太郎のハッピーエンド版 埼玉の漫画家が出版
漫画原稿がボツになって落ち込んだ「ぐうたろう」は、家を飛び出し、亀の背中に乗って海底にあるぐうたらの楽園「ぐうぐう城」へ――。家族を大切に思う一方で、家事に追われる日常から逃げたいと思ってしまう自身の葛藤を寓話(ぐうわ)的に描いた。あらいさんが考える「浦島太郎」のハッピーエンド版でもあるという。「竜宮城から帰った浦島太郎は独りぼっちで玉手箱を開けたが、ぐうたろうは家族と再会し改心して働いて、おじいさんになる」。絵本に登場する長男は6月、25歳になる。
あらいさんが絵本制作を始めたのは2020年春。新型コロナの1回目の緊急事態宣言中のことだ。画用紙に線画を描いて切り抜き、上から綿棒でぽんぽんたたくように絵の具を乗せて形を浮かび上がらせる「ぽんぽん版画」を考案。「日本近代漫画の祖」とされるさいたま市ゆかりの漫画家、北沢楽天の妻いのを主人公にした作品「雷になったいのばあちゃん」が生まれた。2作目が今作で、2回目の緊急事態宣言中だった21年1月初旬に描き始めた。「コロナで家族と一緒にいる時間が長くなり、改めて家族のあり方を考えた」作品だ。
B5横判64ページ、2200円。書店のほか、県庁横のコバトンカフェなどでも販売中。7月2日から、さいたま市北区日進町2のギャラリー「創造空間 日進月歩」で原画展を開催する。問い合わせはさきたま出版会(048・711・8041)。【岡礼子】