採集人生、燃えた日々 長野で北杜夫さん企画展 昆虫標本など展示
昆虫好きだった北さんは信大の前身の一つの旧制松本高校出身。在学中は北アルプスや美ケ原高原に登り、信州の自然に親しんだ。在学した1945~47年の日記は昨年、「憂行日記」(新潮社)として出版され、登山や昆虫採集、読書や詩作などに明け暮れた日々がつづられている。
展示された標本は北アで採集した高山チョウのミヤマモンキチョウやコヒオドシ、美ケ原で採ったヒメギフチョウなどで、採集当時の様子を書いた憂行日記や「どくとるマンボウ昆虫記」の文章が付けられている。5日にあった展示解説で、図書館長の東城幸治・理学部教授(進化生物学)は「日本は終戦前後の大変な時期だったが、虫を眺め、心が落ち着いていたのではないか」と説明した。
この日は憂行日記の編者、斎藤国夫さんの講演会もあった。日記によると、北さんは終戦前の45年7月、あこがれの上高地を経て西穂高岳に登山。斎藤さんは「5日間の山行で223種の昆虫を採集した。心行くまで楽しみ、採集人生で最も燃えた日々だった」と話した。
信大中央図書館は学外者も入館でき、身分証を提示する。問い合わせは同図書館(0263・37・2172)。