【色無地の着物】“紋”を入れるとは?どんな種類がある?今さら聞けない基本を解説

撮影=桂太(フレイム)
「染めの色無地」の着物は「紋」を入れることでフォーマルからセミフォーマルの場面に好適です。“改まった席での装い“として色無地の着物を念頭におかれる場合は、店頭から「染め」のものをお選びいただき、抜き紋入れ(紋の形に白く抜き模様を描く)をご指定ください。
また、お店によっては、お客様に白生地と色をお選びいただき、別染めで承るところもあると思います。その際には、あらかじめ紋入れをしてから、全体の色を染める工程となることが多いと思います。
色無地の紋の数は、背に入れる一つ紋が一般的ですが、中には三つ紋を入れて、格の高い紋付のフォーマル着とされることもございます。
<写真>もっとも格が高いとされる「染め抜き日向紋」。黒留や喪服に。
<写真>「染め抜き中陰紋」。訪問着や付けさげ、色無地などに最適です。
<写真>あまり仰々しくせず、色無地や付けさげなどを略礼装として装いたい場合には「染め抜き陰紋」を。
紋入れには、この「抜き紋」のほかに「縫い紋」があります。
生地と同じような色目の濃淡色ー店頭では共濃(ともこい、またはともご)、共薄(ともうす)という言い方もされますーの刺繍糸を使うと、すっきりと白色が映える「抜き紋」に対して、紋が目立ちにくくなります。縫い紋は、紋の輪郭をとる「陰紋(かげもん)」、または「中陰紋」をおすすめすることが多いです。
「紋は入れておきたいけれども、仰々しくないほうがいい」「正装の場合は訪問着や色留袖を着るので…」という場合には、共濃または共薄色での縫い紋を指定されるとよいと思います。また、染め上がった色無地は地色がきれいに抜けないケースもあり、この場合は縫い紋をおすすめすることになります。
<写真>「丸に抱き茗荷」の丸輪を雪輪に変え、銀糸を使いパーティ用に。繍いのしゃれ紋。
<写真>天蚕糸(てんさんし)を使用した訪問着に合わせて色糸の質感にもこだわった、繍いのしゃれ紋。