赤瀬川原平の未公開写真を6作家が選定。六本木で「日常に散らばった芸術の微粒子」が開催へ
PIRAMIDEで開催される。ゲストキュレーターは資生堂ギャラリーのディレクター・豊田佳子。会期は2023年1月26日~3月25日。
赤瀬川原平(1937~2014)は、戦後の前衛芸術を牽引し、マンガ、文筆、写真など様々な分野で活動した作家。今回展示されるのは、没後に書斎の抽斗から発見された約4万点の未発表写真のうち、6名の現代美術のアーティストが選んだ約120点だ。そのなかには「路上観察学会」のために撮影された写真のほか、花や植物、家族や近所などの「日常」を感じさせる作品も多く、偶然を楽しむ赤瀬川の時代のとらえ方が見えてくるという。
作品のセレクションを務めるのは、赤瀬川の活動をリアルタイムに知る1970~80年代生まれのアーティストのうち、その作品からなんらかの影響を受けたり共通性が見られる伊藤存、風間サチコ、鈴木康広、
中村裕太、蓮沼執太、毛利悠子の6名。各作家は本展開催に向け、膨大な作品群からそれぞれ20枚ほどを選定し、セレクト理由(セレクションのテーマ)や赤瀬川から受けた影響や赤瀬川に対する想いをまとめた。
赤瀬川独自の視点で切り取られた風景に、現代のアーティストの視点を重ねる試みである本展。その展示タイトル「日常に散らばった芸術の微粒子」は、
赤瀬川の『芸術原論』内、「デュシャンからトマソンへ」の章に見られる「芸術は見えないほどの微粒子となって世の中に散らばり、そうやって拡散した芸術が路上で発見されたものがトマソンである」という記述から考案されたもの。
赤瀬川がとらえた日常の風景からは、モノをよく見て本質を問うという芸術的姿勢や、無理をせず他者を思いやり自然と共生するといった、現代を生きる上で大切にすべきことが見えてくることだろう。作品に散りばめられた「芸術の微粒子」を見出しに、会場を訪れてみてはいかがだろうか。
なお、本展開催に際して、赤瀬川原平の未公開写真で構成された書籍『1985ー1990赤瀨川原平のまなざしから』(りぼん社)が刊行される。会場でも発売されるので、こちらもあわせてチェックしたい。