「女性=優しい」は4歳、「男性=賢い」7歳…固定観念は幼少期から 京都大など解明
取り組んだのは、京大大学院の森口佑介准教授(発達心理学)らのグループ。日本は、世界経済フォーラムが各国の男女格差を数値化した2022年版の「ジェンダー・ギャップ指数」の国別順位で146カ国中116位と下位に低迷しており、性別に関する固定観念が強い傾向にあるとされる。
研究は4~7歳の子供と保護者計約560組を対象に実施。子供に「賢い人」や「優しい人」を説明する話を聞かせた後、男性と女性を示したピクトグラムを見せて「賢い(優しい)人は誰?」と尋ね、男児・女児別で自分と同じ性別を選ぶ割合を年齢ごとに分析した。
その結果、「優しい人」については男児が男性を選ぶ割合は4~7歳のいずれも半数程度だったのに対し、女児が女性を選ぶ割合は4歳ごろから一貫して75%前後と男児を上回った。また、「賢い人」については男女ともに4~6歳は差があまりなかったが、7歳の男児では7割近くが男性を選んだ。7歳の女児が女性を選んだ割合は半数程度だった。男女ともに幼少期に自分の性別に関する固定観念がある程度形成されることが明らかになった。
米国で行われた同様の調査では「男性=賢い」というステレオタイプは6歳ごろから表れる傾向があったという。森口准教授は「ジェンダーギャップが大きいとされる日本だが、『賢い』の固定観念が表れるのが米国より遅いのは意外だ」とした上で、「幼少期から思い込みや固定観念が表れる要因や、進路や職業選択への関連の有無などを調査・研究していきたい」と述べた。
研究成果は国際学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)に掲載された。(杉侑里香)
■ジェンダーステレオタイプ 性別に関して、根拠はないものの「男性は頭がいい、女性は優しい」といった社会に広く浸透している固定観念や偏見、イメージなどを指す。ジェンダーステレオタイプを持つ子供はそのイメージに沿う振る舞いや進路・職業選択を行い、ジェンダーギャップ(性別による格差)が維持・拡大されるという悪循環が多くの研究で指摘されている。