コロナ禍の時代をユーモアと風刺を交えて描く。ホアン・コルネラの新作個展が渋谷で開催へ
NOWHERE BUT TOKYO」が、8月25日~9月6日の会期で東京・渋谷のSTANDBYで開催される。
コルネラは1981年バルセロナ生まれ。軽快なおもしろさ、カラフルさ、登場人物の愛らしさが特徴の作品だが、細かく解析すると、人の特性を鋭利かつ細かい観察眼で風刺的に描いていることがわかる。シンプルで実直な視覚言語と大胆な色彩に長けたその作品では、人間の暗い部分にフォーカスし、ユーモアにあふれながらウィットにも富んでいる。
本展では、自身初となるインタラクティブなインスタレーションと5枚のキャンバス新作を発表。インスタレーション《vletesivions》は、15のモニターからなる作品。ポストコロナの生活習慣としてデジタル機器の利用やオンラインでの活動が多くなったことにインスピレーションを受けたこの作品には、コルネラ独自の視点により15の地域や都市がコロナによるロックダウンや外出規制に遭遇した様々なシーンが風刺を交えて描かれている。
ギャンバス新作では、コロナ禍の厳しい時代を面白おかしく描く。例えば、コロナ禍で多くの人が体温測定や陰性証明の提示を求められる日常を、「IDIOT(まぬけ)」と書かれた体温計とともに描写し、見る者に作品とコロナの関係について考えさせる作品や、韓国発の指ハートを描いた作品、インスタ映えに執着する男の作品、汚染された環境をバックにポーズをとる女の子の作品など、コルネラらしい角度で表現した作品が集まる。
コロナ禍の影響で多くの人々の海外旅行への夢が打ち砕かれるなか、コルネラは本展に際して次のように述べている。「非常に難しいこの時期に、旅行に出かけることはひとつの特権だということを思い出してほしい。コロナ禍の不安定な時代に、アートを通して幻想的な旅や私がつくり出す無人の世界を体験してほしい」。