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人間が生きる場所はどのように変わるべきなのか。「リジェネラティブ・アーバニズム」が提示するこれからの都市の可能性
2022-04-08
人間が生きる場所はどのように変わるべきなのか。「リジェネラティブ・アーバニズム」が提示するこれからの都市の可能性

 東日本大震災から4年後の2015年、宮城・仙台市で「国連防災世界会議」が開催された。これを契機に、東日本大震災の教訓を地球規模のフレームで共有し、災害に強い都市づくりに活かす試みが世界各地で始動。こうしたプロジェクトのひとつが、カルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のxLABと、東北大学
災害科学国際研究所(IRIDeS)が中心となり、環太平洋の11大学が参加するプラットフォーム「ArcDR3(Architecture and Urban
Design for Disaster Risk Reduction and Resilience)イニシアチブ」だ。

 この「ArcDR3
イニシアチブ」が、災害に対する新しい都市像を提案する展覧会「リジェネラティブ・アーバニズム展―災害から生まれる都市の物語」をCOREDO日本橋で開催している。その概要をレポートしたい。


 本展の統括プロデューサーで、展覧会コンセプトと会場デザインを担当したのが、UCLAの教授でxLABのディレクターである阿部仁史だ。阿部は本展の名称にもなっている「リジェネラティブ・アーバニズム」について、次のように説明する。「かつて、自然環境のなかに点在していただけだった人間の社会は、時代とともに規模を拡大し、自然環境と同規模のものにまでなった。こうした状況において、自然環境と人間環境がぶつかり、人間の環境が破壊されるのが自然災害だ。これを踏まえたうで、次世代に向けて人間の住む都市の環境を、いかに自然の環境のなかに織り込んでいくのかを考えること。これがリジェネラティブ・アーバニズムの基本的な考え方だ」。

 会場では、参加した11大学が連携しながら考案した、7つの想像上の都市の物語を提示。自然災害という課題と向き合いながら、自然とともにある都市の姿を体験できる。


 7つの「井戸」のようなドーナツ状のモニターが会場には設置され、覗き込むことでぞれぞれの都市の物語を見ることができる。さらに天井で目を引くのは、大きく投影されたプロジェクション映像だ。このプロジェクションではつねに世界中の災害の記録が流されており、「井戸」をのぞき込むという個人的な体験と、世界規模の自然現象のダイナミズムを、展示空間に同居させて表現しているという。



 7つの物語のなかから、いくつかの例を紹介したい。「火成都市」はUCLAとカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)による研究内容を統合したもの。森林火災とともに生きるために、つねに火災が起きることを前提に、居住地と森林のあいだに防災調整帯を配置。防火機能を備えた農村地帯も設置する。さらに、防災のための住民のコミュニケーションにをうながす地域文化の情勢や、土でつくられた蟻塚のような建築、火災を避けるため地下に配置された居住空間などが提案されている。


 「遊牧都市」は、メルボルン大学、東京大学、国立成功大学(台湾)の研究結果をもとに制作された。海抜が低く高潮や浸水につねに悩まされている地域をモデルに、氾濫等を見越した都市づくりを提案。海岸線の変化を受け止め、浸水時には道路を災害用用水路にする、また浮体構造を持った建築によって水上を商業活動などの領域とするなど、水の変動性に対応する生活スタイルが示されている。



 さらに会場では、災害のみならず都市が抱える様々なリスクもデータとして提示。差別や格差といった人間社会が抱える問題が、そのまま都市のリスクへと複雑に結びついていくことを示唆しており、自然災害のみならずより複合的にリスクをとらえ、都市のビジョンに反映していく必要性を訴えかけている。

 人間の生活を維持するために不可欠ながらも、様々な問題を孕む都市。今後の芸術活動を考えるうえでも、これからの都市の改めて考えることができる展覧会だ。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/c386cba3315289a49660489ff0b27f81ff0eaa6d

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