“生起する瞬間”をとらえる鈴木理策の個展「冬と春」
 
                                本展では、淡い冬の光と流氷、雪原の白をたゆたい春の到来を告げる桜、春の気配を画像のすみずみに生きづかせる緑の水鏡といった「冬と春」を代表するイメージで構成される。これらは、冬から春へと間断なく流れていく時間の中で、あくまでカメラのレンズが写すことのできる世界の表層において、きわめて複雑な変化がこの世界のあちこちで生起していることに気付かせてくれる。そして鈴木の写真は、この「生起する瞬間」こそをとらえている。