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写真家・高橋恭司インタビュー「潜伏? いや写真の原初的な部分に立ち返る時間を大切にしていました」
2022-09-22
写真家・高橋恭司インタビュー「潜伏? いや写真の原初的な部分に立ち返る時間を大切にしていました」

1990年代から『Purple』など国内外のファッションやカルチャー雑誌を中心に活躍し、後の世代に圧倒的な影響を与えてきた写真家の高橋恭司。現在、渋谷の〈LOKO GALLERY〉にて、90年代に発表された貴重なヴィンテージプリントから、近作の花をモチーフとした写真群、そして自身の絵画作品などが並ぶ個展が開催されている。展示の初日、作家に話を聞いた。

──(《GR》※が机に置かれているのを見て)そういうコンデジでも撮影されているのですか?

※リコーイメージング社から発売されているコンパクトデジタルカメラ

いや、今日は展示初日ということもあっていろんな友人が来てくれるから、パーティスナップみたいなものを撮ろうかなと思って。さっき芳名帳を見たら、最初のお客さんとして五木田(智央)くんが来てくれてたみたいなんだけど、僕が来るのが遅くて、立ち会えなかった(笑)。

── 今回の展示では新旧の作品が様々なフォーマットで展示されていますが、どういったきっかけで、企画が立ち上がったのでしょう?

今年の2月に表参道の〈DEE’S HALL〉で展示した花の写真作品を、あらためて大きくプリントしたものを展示してみよう、というのが当初の話でした。それで準備を進めていたら、どうやら僕が90年代に撮影した写真を見たいと思ってくれている人が沢山いるらしいということが耳に入って。それで今回の展示のキュレーションを担当してくれている小林健さんが、当時のヴィンテージプリントの中から展示する作品を選んでくれました。僕が自分で選んだのは展示されているものの4分の一くらいですかね。昔の写真と新しい写真を合わせて展示することで、結果的に自分に流れる共通項みたいなものが浮かび上がったら面白いかなと。それが今回の展示タイトル『Ghost』なんですけど。
──〈DEE’S HALL〉で展示されていた作品も、今回展示されている花をモチーフにした作品も、意識的にネガプリントの痕跡みたいなものを残されているのが印象的でした。

もちろんネガからの引き伸ばしは厳密にやろうと思えばできるんだけど、あえてラフにやっています。埃の跡が残っていたり、印画紙が部分的に感光して赤くなってしまっていたり。いきなりテクニカルな話ですが、花の作品は、1950年代のモノクロからカラーへの移行期に使われていた引き伸ばし機を購入して、久しぶりに暗室を作り直してプリントしたものなんです。70年前の《ハッセルブラッド》で撮っているので、当時のレンズのやわらかさに、偶然性とか、有機的な要素を入れていったら面白いかなと。結果的に、それが自分の今の感受性と合致しました。

── 新しい暗室はご自宅に?

栃木県益子町にある実家に作りました。親が高齢なので、会いに行くきっかけになってよかったですね。それに、益子は空気がいい。プリントに集中する上でも、自分のメンタルを保つ上でも、すごくいい環境です。30年くらい渋谷に暗室を持っていたんだけど、数年前に〈コダック〉社の印画紙が生産中止になって、正直ホッとしていたんです。もうプリントしなくていいかなって。それで様々な媒体への出力を試してみたけれど、フィルムから印画紙にプリントした組み合わせがなんだかんだ自分の周りでは評判が良くて。今はデジタルが当たり前だから、逆張り的にフィルムが再評価されていますよね。

── これは主観的な印象論かもしれませんが、恭司さん=ダウナーな色調というイメージがあります。これもネガプリントゆえの作家の色でしょうか?

そうですね。ダウナー系だと思いますよ、僕は。作品の色味は時代によって流行りもあると思うのですが、制作環境にも依存すると思います。当時のフィルムと印画紙だと、これ以上明るいトーンを再現するのが僕には難しかった。だんだん、時代が進むにつれて性能が上がってくるのですが。写真は感材の条件から離れることはできない。絵もそうだけど、写真はプロダクトだから。

アンディ・ウォーホルは、皆が使える材料で作品を複製することでポップアートを始めたわけで、特殊な材料だとよくない。一般に手に入るものでどうやるか、だから。もともと美術を学んでいた僕が写真の世界にスムーズにいけたのはそこらへんを見てるからかもしれない。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/c079ded8f8dc6de4f8343a87c3ad4988b1028e65

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