すべての本を建築書と捉え、新たな視点を与える書店が南青山にオープン。
建築専門誌を発行する〈新建築社〉と、洋書のアートブックを扱う書店〈POST〉。異なる強みを持つ両社がタッグを組んだ〈新建築書店〉が、南青山にオープン。ここに並ぶのは、いわゆる建築書だけではない。画集や写真集、小説など、あらゆる本を “建築書” と捉え、「構造」「環境」「都市」といった建築にまつわるワードでくくって陳列。同じ本でも切り口によって見え方が変わり、普段手に取らない本と出会うきっかけを与えてくれる。
店内の本のセレクトを担当するのが、〈POST〉の中島佑介だ。
「昨今は、個性の立った店主が好みの本を並べ、その価値観に惹かれた顧客が訪れる書店と、誰もが興味を持てる書籍がバランスよく並ぶ書店に二極化しています。そのどちらでもなく、フラットに本に触れられる場にしたいな、と。建築家は建築書だけではなく、多岐にわたる書籍からインスピレーションや人間性への影響を受けています。この書店でも訪れた人の人格形成につながるような本を並べられたらと思っています」
また、中島が期待しているのは、ここにある本を通じてコミュニケーションが生まれ、本が価値観を共有するツールになること。
「ギャラリーで開催中の『建築家のライブラリー』もそうですが、人を介して知る本は興味が湧くもの。そう考えると建築家による1日店長も面白そうだな、と。今後は他界された建築家の蔵書の展示、海外の建築家のレクチャーなど人を中心にした企画も考え中。お客様からも “こんなカテゴリーもいい “ “こんな本があると面白い” とアイデアをいただき、本のセレクトに反映したい。みんなで作り上げる書店が理想ですね」
ギャラリーでは、雑誌『新建築』での連載と連動した企画、『建築家のライブラリー | The Architect’s Library』を開催中。建築家の選書を展示。どんな本を読み、影響を受けてきたかが垣間見える。「収録現場にいる数名だけが、話を聞くのはもったいない。いつか、ここで公開インタビューができたら」と中島。今後もさまざまな建築家・研究者をピックアップする予定。
建築とアートの領域をまたぐ専門書店。東京都港区南青山2-19-14新建築 青山ハウス1F・2F。 TEL 050 3479 7660。金曜~日曜の11時~19時。