• Online Tools
  • - Calculators
    • Character Count
  • - Download
    • TikTok Download
    • DouYin Download
  • - Web Tools
    • BASE64
    • Base64 to Image
    • Image to Base64
    • URL Encoding
    • JavaScript
    • Timestamp
    • Unicode Converter
    • JSON Format
    • Modify Extension
    • Make List
    • CSS Optimizer
  • - Encryption Tools
    • MD5 Encryption
    • Random Generator
  • - Image Tools
    • Image Compression
    • QR Code Generator
    • QR Code Reader
    • Wallpaper Preview
    • Image EXIF
  • - Info Sheets
    • Blood Type Heredity
    • Clothing Sizes
  • [email protected]
DopuBox
  • English
  • Español
  • Français
  • 日本語
  • 한국어
  • 简体中文
  • 繁體中文
全部 ニュース Meta Code 文化・アート
政治小説の師
2023-05-02
政治小説の師

 後藤明生の本で読んだドストエフスキーの言葉、「我々はみなゴーゴリの『外套』から出てきた」を私なりに言い換えれば、「我々はみな、大江健三郎の『セヴンティーン』から出てきた」となるが、「我々」のうちの「々」はおらず、自分の知るかぎり私は独り『セヴンティーン』から出てきたのだった。

 何もかもにも劣等意識を持つ鬱屈した十七歳の少年が、クラスメイトから右翼の演説会でサクラのバイトをしないか、と持ちかけられ、右翼の演説を聞くうちに、《右》である自分というアイデンティティを獲得していく過程が、一人称で執拗にグロテスクなまでに描かれたこの短編小説を読んだのは、私がメキシコ留学から帰国した一九九〇年代前半、大江さんがノーベル賞を受賞したころだった。大学時代に安部公房にのめり込み、そこからガルシア=マルケスに移り、ラテンアメリカ文学に魂をさらわれてメキシコに行き、中南米諸国のうちでメキシコを生きる地に選んだのには大江さんも住んだことのある土地という事実も意識されていたのだが、帰国してからすぐに古本屋に走って、新潮社刊の『大江健三郎全作品』全六巻を購入したのは、仕事もお金もなかったからだ。大学時代にいきなり『同時代ゲーム』から入ろうとして挫折したので、計画に基づいて読書をする大江さんに倣い、最初から書かれた順にすべての作品とエッセイを読もうと考えたのだ。そしてまず最初の深みにはまったのが『セヴンティーン』だったのである。
 「おれ」は、演説を聞いているうちに、次のような変化を覚える。

 「いつも自分を咎めだてし弱点をつき刺し自己嫌悪で泥まみれになり自分のように憎むべき者はいないと考える自分のなかの批評家が突然おれの心にいなくなっていたのだ。おれは傷口をなめずっていたわるように全身傷だらけの自分を甘やかしていた、おれは仔犬だった、そして盲目的に優しい親犬でもあった、おれは仔犬の自分を無条件にゆるしてなめずり、また仔犬のおれに酷いことをする他人どもに無条件で吠えかかり咬みつこうとしていた」

 そして、その瞬間が訪れる。

 「自分の弱い生命をまもるためにあいつらを殺しつくそう、それが正義だ、おれは立ちあがり拍手し喚声をおくった、(中略)酷いことをされ傷つけられた弱い魂のための、それが正義だ! 

 『あいつ、《右》よ、若いくせに。ねえ、職業的なんだわ』

 おれは激しくふりかえり、おれを非難している三人組の女事務員が一瞬動揺するのを見た。そうだ、おれは《右》だ、おれは突然の激しい歓喜におそわれて身震いした。おれは自分の真実にふれたのだ、おれは《右》だ! (中略)おれは他人どもに見つめられながらどぎまぎもせず赤面もしない新しい自分を感じた。いま他人どもは、折りとった青い草の茎のようにじゅくじゅくと自瀆で性器を濡らす哀れなおれ、孤独で惨めなおどおどしたセヴンティーンのおれを見ていない。(中略)大人どもはいま独立した人格の大人同士が見あうようにおれを見ているのだ。おれはいま自分が堅固な鎧のなかに弱くて卑小な自分をつつみこみ永久に他人どもの眼から遮断したのを感じた。《右》の鎧だ!」

 二〇〇〇年代に入って私は、「新しい政治小説」と自ら銘打った小説群を書き継ぎながら、常に『セヴンティーン』を読み返した。政治を左右するのは、必ずしも理性的な理屈ではなく、個々人の日々の生活の積み重ねで溜め込まれたこのような負の破壊感情であることを、文学は見なければならないと感じていたからだ。男の恥辱を描いて人間の普遍性であるかのように見せてきた日本の私小説に対し、大江さんはその恥辱が社会構造の産物でもあり、またその恥の意識が社会の常識を形成し、暴力となって他を抑圧してきたことを、個人の内面の粘着する描写だけで可視化した。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/b8ae791b71b916afce7b4e4f5f1f162ef3cc012e

Other Tools
  • Character Count TikTok Download DouYin Download BASE64 Base64 to Image Image to Base64 URL Encoding JavaScript Timestamp Unicode Converter JSON Format Modify Extension Make List CSS Optimizer MD5 Encryption Random Generator Image Compression QR Code Generator QR Code Reader Wallpaper Preview Image EXIF Blood Type Heredity Clothing Sizes
  • 藤子・F・不二雄の名言「ありそうもない話をありそうに描きたい」【本と名言365】
    2024-05-29

    日テレ、意思疎通できず信頼喪失 「セクシー田中さん」の調査結果
    2024-05-31

    【光る君へ】平安時代、強烈なエピソードで知られた2人の受領とは
    2024-06-01

    声優の増山江威子さん死去
    2024-06-03

    小学館「作家の意向第一に協議」 映像化指針、ドラマ原作者死去で
    2024-06-03

    「警察密着24時」担当者ら懲戒 テレビ東京、石川社長は3割返上
    2024-06-03

    “20世紀音楽”の発展に貢献した指揮者、クーセヴィツキー。その偉業とは【クラシック今日は何の日?】
    2024-06-03

    応挙手本?に描いたトラ甦れ…徳島の寺のふすま絵修復へ
    2024-06-04

    レイモンド・ローウィの名言「優れたインダストリアルデザインは、…」【本と名言365】
    2024-06-04

    知ってる? 「登録博物館等マーク」
    2024-06-05

    「三島喜美代―未来への記憶」(練馬区美術館)開幕レポート。最大規模のインスタレーションも
    2024-06-05

    「ゲバルト」展が東京日仏学院などで開催。反暴力的反応とその美的様式を探る
    2024-06-05

    お台場エリアを舞台に新芸術祭「東京お台場トリエンナーレ 2025」が誕生
    2024-06-05

    105歳で死去した画家弥勒祐徳さん おごらず、黙々と、ひたすらに神楽など描く
    2024-06-05

    第55回星雲賞・自由部門に「巨大ロボット展」 日本SFファングループ連合会議
    2024-06-05

    岡田将生の初ブランド「IN MY DEN」始動、第1弾グッズの受注販売がスタート
    2024-06-06

    美術家藤井光さん個展「終戦の日/WAR IS OVER」 希望か絶望か…大分・佐伯の地下弾薬庫跡にこだまする泣き声
    2024-06-07

    書評:「普通にラッセンが好き」と言えない現代美術界へ。原田裕規『評伝クリスチャン・ラッセン 日本に愛された画家』
    2024-06-06

    もしあの時に戻れたら…歌人・穂村弘が話題書『迷子手帳』で明かす、今も忘れられない「失敗」
    2024-06-07

    パートナーとの強い絆から生まれた、ベンジャミン・ブリテンの代表作【クラシック今日は何の日?】
    2024-06-06

    ©  Dopu Box
    💛