昭和・平成の「京都ニュース」末永く フィルム映像デジタル公開
京都ニュースは1956(昭和31)年~94(平成6)年に、市広報課が制作した。市政ニュース映像は他の自治体も制作しているが、草創期の一つとされる。1本のニュース映像は数分間で複数の話題を取り上げ、市内の映画館で流された。
オリジナル映像の35ミリネガフィルムは、国立映画アーカイブ(東京都)に保管されている。立命大は市から、映画館の上映用に出回った複製品の16ミリフィルムの寄託を受け、2019年から京都映画芸術文化研究所などと協力してデジタル化を進めてきた。
京都ニュースは全部でフィルム244本が存在し、921の話題を扱っている。今回は72年までに制作された112本、486の話題について保存作業が終わり、公開した。
公開されたニュースの内容は、市の予算や施策の紹介が中心。社寺などを対象に1956~64年に実施した「文化観光施設税」の案内などがある。事件・事故や風物詩も扱っており、56年に起きた比叡山延暦寺の大火災の被害や消火作業も伝えている。祇園祭はたびたび取り上げられ、伝統を守りつつも少しずつ変化する祭の様子をたどることができる。
紹介用に新設したウェブサイトには、話題別に検索できる機能を用意。ニュースで取り上げられた場所を地図上に表示し、当時の地図や航空写真と重ね合わせて見ることができるよう工夫した。
取り組みを進める立命大の矢野桂司教授(人文地理学)は「京都ニュースは市民共有の文化資源だが、フィルムは劣化する。デジタル化で誰もがアクセスしやすくなった。各時代の風俗や習慣、祭礼などが映し出されており、学術的な活用も広がると期待できる」と話している。
視聴は「京都ニュースアーカイブ」のサイト(https://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/vm/kyotonews/)から。