江戸川区・上小岩遺跡で古代の住居跡 集落存在裏付け 区郷土資料室で公開
上小岩遺跡は、東京東部の低地帯の中で、比較的高い「微高地」に位置する。付近では戦後、土器のかけらが発見され、地元の教諭による調査で昭和40年代に都の遺跡地図に登録された。
これまでも、下水道工事などの際に断続的に発掘調査が行われ、弥生時代後期以降の土器などが出土することから、集落の存在が推定されていたが、住居の痕跡は見つかっていなかった。また、養老5(721)年に作成されたこの地域一帯の戸籍には「甲和里」「嶋俣里」などの記載があり、地名から「小岩」や、葛飾区の「柴又」を指しているのではないかと推定されるものの、こちらも裏付けはできていない。
一方、遺跡の中心地と考えられてきた場所に建つ上小岩小学校の改築工事が行われるのに合わせて、約7500平方メートルの敷地全域の発掘調査を令和2年から開始。区教委によると、校庭部分などから始め、9年ごろまで続けられるという。
3年4月までの調査では、さまざまな時代の土器や磁器が発見されているほか、6~8世紀の竪穴住居跡とみられる柱穴や、周辺でかまどに使う土製品が見つかった。
区教委教育推進課文化財係の小島雄二係長は「存在が推定されてきた古代の集落が区内に存在したことが、初めて裏付けられた」と明かす。発掘では地面を溝で四角に区切る「方形周溝」も発見。周溝の内側に何があったのかはわかっていないが「何らかの建造物があったのではないか」(小島氏)という。
こうした発掘成果を公開する区郷土資料室の展示では、遺構の写真に加え、弥生時代の土器や古墳時代の装身具、中世の磁器なども見ることができる。小島氏は「区内で古代から人々が住んでいたことを多くの人に知ってほしい」と話している。
9月3日まで。入場無料。問い合わせは区教委教育推進課文化財係(03・5662・7176)。(橋本昌宗)