「KYOTOGRAPHIE 2023」のテーマは「BORDER」。新たな姉妹イベント「KYOTOPHONIE」も初開催へ
来年のテーマは「BORDER」。共同創設者/共同ディレクターを務めているルシール・レイボーズと仲西祐介はこのテーマについて、次のように述べている。
あらゆる生命体はさまざまな《BORDER=境界線》を持ちながら生きている。
境界線はその存在を形作り、その経験を規定する。そして、生命体はそれぞれの境界線を守り・壊し・広げ・狭めながら生きる。
人類は特出して進歩という本能を備えている。フロンティアを切り拓き、新たな領域へと進出していこうとする本能だ。
この進歩的な本能が、人類の領域を押し広げ、急進的に進化させてきた面もあるが、同時に自然界を破壊し、保護もしてきた。
2023年、KYOTOGRAPHIEでこの《BORDER=境界線》を巡る旅に出よう。それは何かを分け隔てようとするものかもしれないし、かりそめの状態かもしれない。はかない刹那かもしれないし、紙一重の微差にすぎないのかもしれない(プレスリリースより)。
来年は、京都文化博物館 別館、二条城 二の丸御殿 台所、両足院、出町桝形商店街、嶋臺(しまだい)ギャラリー、HOSOO
GALLERYなど14ヶ所を会場に、14のメインプログラムが展開される予定。
例えば、京都文化博物館 別館ではキューバの現代アート
シーンで活躍する若手アーティストのひとりで、2017年の第52回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展で作品を展示し注目を集めたマベル・ポブレットが出展。島国キューバに生まれた作家にとっても重要な要素である「海、水」をテーマにした作品群を紹介する。
二条城 二の丸御殿
台所では、高木由利子が世界各国の民族衣装を日常的に着ている人々を記録するプロジェクトや、DIORとコラボレーションした最新作を含む現代のファッションを撮影したシリーズをパラレルに展示予定だ。
藤井大丸ブラックストレージでは、ウクライナ出身のフォトグラファー、ボリス・ミハイロフの「Yesterday's
Sandwich」シリーズをスライドショーで展示予定。2枚のカラースライドを重ね合わせることで、謎めいた超現実的な世界がつくりだされる。Sferaでは、人道的危機や国際情勢を主なテーマに活動しているフリーランスのフォトジャーナリスト、セザール・デズフリのプロジェクト「Passengers」を紹介。ヨーロッパの国境に押し寄せ危機に瀕する難民たちに焦点を当て、現在も進行中のプロジェクトだ。
そのほか、今年4月にPARCO MUSEUM TOKYOで個展を開催したココ・カピタン
が、KYOTOGRAPHIEのアーティスト・イン・レジデンスとして京都で滞在制作を行い、ティーンエイジャーにフォーカスして撮影した作品を発表。女性の権利やジェンダーの平等・公正へのコミットメントにアプローチし、世界13ヵ国から17人の写真家が様々な「声」を記録した世界報道写真展「レジリエンス
── 変化を呼び覚ます女性たちの物語」も行われる。
また、これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的にした公募型アートフェスティバル「KG+」も、KYOTOGRAPHIEのサテライト・イベントとして京都市内各所で開催。なお、KYOTOGRAPHIEの姉妹イベントとして、新たなミュージックフェスティバル「KYOTOPHONIE」も同時期に初めて開催される。