ブラジル大使館でリナ・ボ・バルディ展が開催中。初公開の復刻椅子も!
ブラジルで建築家として自邸〈ガラスの家〉〈サンパウロ美術館〉〈SESCポンペイア文化センター〉などを手がけたリナ・ボ・バルディ。彼女は1914年ローマ郊外で生まれ、ジオ・ポンティの事務所で椅子やファッション、都市デザインなどに関わった。戦中から戦後、デザインの仕事がなかったときはジャーナリストとして雑誌や新聞に寄稿していたこともある。1946年、夫と南米に旅行したのをきっかけにブラジルに移住し、92年に没するまでそこで暮らした。
リナ・ボ・バルディは設計した建物の多くにオリジナルの椅子をデザインしている。彼女の建築ではそれぞれに個性ある空間を体験することができるのだ。代表作である《フレイ・エジディオチェア》は一枚の板のように折り畳めるユニークな仕掛けだ。
リナの椅子の多くは木材のみによるシンプルなものだ。初期には安価で強く、加工がしやすい合板を使っていた。ジャーナリスト時代のリナは見た目のデザインだけでなく、合理的な構造や経済的な生産体制などにも着目していた。彼女の椅子にも人間らしい暮らしを実現する親しみやすさや合理性がにじみ出る。
〈駐日ブラジル大使館〉で開かれている展覧会には主催のATELIER GALLERYが所蔵するヴィンテージ作品のほか、リナ・ボ・バルディが立ち上げに関わった、現在もサンパウロで家具制作を続けるバラウナ工房による現行品が並ぶ。またバラウナ工房の協力でGallery CASA DEが世界で初めて復刻した〈SESC SESCポンペイア文化センター〉のチェアや《Kids Desk》が初公開されるほか、アートブック専門のtwelvebooksがセレクトした関連書籍も。日系ブラジル人のルイ・オオタケの設計によるカーブしたファサードが美しい〈駐日ブラジル大使館〉で、地球の反対側で花開いたモダニズム家具を堪能できる。
〈駐日ブラジル大使館〉東京都港区北青山2 丁目11-12。2023年5月9日~5月25日。11 時~17時(入場は16時30分まで)。土曜・日曜休。入場無料(アポイントメントフリー)。