河合塾のアドバイス 共通テスト・現代文 「複数テクスト」形式への経験を積んでおこう
この「複数テクスト形式」は、これまでの3回の共通テスト、さらに共通テスト実施以前の試行調査を含めると、A【二つ以上の独立した文章が並列する場合】、B【設問の後半で別テクストが追加される場合】、C【一つの本文に図表などが付属している場合】と、三つの型に分類できます。2023年度では大問一がAタイプ、大問二がBタイプでした。過去問を用いてさまざまな「複数テクスト」形式への経験を積んでおきたいものです。
もう一つ、23年度の共通テストで注目しておきたいのは、新学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」に関連した設問が標準化したことです。
例えば今年の大問一では、生徒が話し合う場面を設定し、その「対話」における空欄を補う設問がありました。対話形式の出題は20年度の最後のセンター試験にもみられましたが、共通テストとしては今回が初めての出題となります。これまでの共通テストでは、問題文を読んだある生徒が自分の考えをまとめた【メモ】や【ノート】が示され、それを踏まえて解答するという問題が出題されてきました。今年は「主体的」のみならず、「対話的」な学びに関わる設問が出されたことになります。この傾向は今後も続くものと考えておいたほうがよいでしょう。
なお、今年の文学的文章(大問二)では、対話形式の設問はありませんでしたが、【資料】とそれを踏まえた【構想メモ】および【文章】とを組み合わせた、「主体的」な学びに関わる設問が用意されていました。
大学入試センターは25年度に向けた「問題作成の基本的な考え」(23年6月9日付)の中で「探求的に学んだり協同的に課題に取り組んだりする過程を、問題作成に効果的に取り入れる」と発表しています。この「探求的」「協同的」という新しいキーワードをも見据えるならば、「主体的・対話的で深い学び」の出題に、より一層の注意を払い、類似問題の演習を数多く経験しておく必要があるものと考えます。
河合塾現代文講師 佐佐木俊英 丁寧な指導と、生徒個々に向き合う熱心な質問対応を行い、幅広い学年・学力層の生徒から厚い信頼を得ている。高卒生の授業では、国公立・私立・医進コースなど文理ともに担当。現役生の担当講座は「高3共通テスト対策国語」「高3国公立大現代文」「高3現代文」「高2ONE WEX国語」「高1ONE WEX国語」など。