若竹千佐子さん「世界に思いが伝わった」 日本人初リベラトゥール賞
若竹さんは岩手県生まれ。「おらおらでひとりいぐも」は2017年に文芸賞、翌年に芥川賞を受賞した若竹さんのデビュー作で、夫に先立たれた74歳の女性の内面を東北弁でつづる。
「作家としては遅い出発で、(デビューの)63歳まで地味に生きてきた」という若竹さん。「私の思いの詰まった1冊があればと願っていたが、その100倍くらいのことがどんどん実現された。新人だから、これを励みに頑張ろうと思います」と抱負を述べた。
会見に参加したドイツ語版翻訳者のユルゲン・シュタルフさん(68)は、東北弁の翻訳に悩んだと明かし、ドイツ東部地方の方言を取り入れたと説明。その上で作品について「人間そのものが描かれている。(主人公の)桃子さんは女性ですが、私も桃子です」と称賛した。
リベラトゥール賞の対象は、ドイツで翻訳出版されたアジアやアフリカ、ラテンアメリカ、アラブ諸国の女性作家の作品。今年の最終候補には、若竹さんの作品のほか、川上未映子さんの「ヘヴン」、伊藤比呂美さんの「とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起」、中国やチリの作家の作品など、計7作がノミネートされていた。【関雄輔】